
英語コーチングは、契約金額が数十万円になります。
そのぶん「合わなかったらどうなるのか」を先に知っておきたい、という相談を受けることがあります。
私は英語を人に教える側にいて、ENGLISH COMPANYとSTRAILの無料体験は自分で受けたことがあります。
ただし解約のルールは体感で語れる話ではないので、この記事では法律の条文と公式の解説、そして各社の公式ページの記載だけを根拠にします。
内容はすべて2026年9月4日時点で公式ページを直接確認したものです。
【結論】クーリングオフは英語コーチングでも使える場合がある
結論を先に書きます。
語学の教授は、特定商取引法の「特定継続的役務提供」に指定されている役務のひとつです。
消費者庁の特定継続的役務提供の解説ページに、語学教室が指定役務として明記されています。
この特定継続的役務提供にあたる契約であれば、法定の契約書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録によってクーリングオフができます。
ただし全部の英語コーチングが自動的に対象になるわけではありません。
対象になるかどうかには金額と期間の条件があり、そこを外れると特定継続的役務提供にはなりません。
次の見出しで、その条件を数字で確認します。
クーリングオフの対象になる条件は「2ヶ月超」と「5万円超」
消費者庁の解説によると、語学教室が特定継続的役務提供にあたるのは、期間が2ヶ月を超え、かつ金額が5万円を超える場合です。
この5万円は受講料だけではありません。
入学金・受講料・教材費・関連商品の代金を含めた契約金総額で判断されます。
| 条件 | 語学教室の場合 | 補足 |
|---|---|---|
| 期間 | 2ヶ月を超えるもの | 2ヶ月ちょうどは含まれない |
| 金額 | 5万円を超えるもの | 入学金・受講料・教材費・関連商品を含む契約金総額 |
| 役務の種類 | 語学の教授 | 消費者庁が指定する7つの役務のひとつ |
英語コーチングは3ヶ月・6ヶ月・1年といった契約が中心で、金額も数十万円です。
つまり期間と金額の条件は、多くの場合で満たします。
1ヶ月単位の月額サービスは期間の条件を外れる可能性があるので、そこだけ扱いが変わります。
クーリングオフの起算日は「契約日」ではなく「法定書面を受け取った日」
ここを間違えている人が多いところです。
8日のカウントは、申し込んだ日からではありません。
法律で定められた内容が書かれた契約書面を受け取った日から数えて8日以内です。
その日を1日目として数えます。
特定継続的役務提供では、事業者に2種類の書面の交付義務があります。
契約を結ぶ前に渡される概要書面と、契約を結んだあとに渡される契約書面です。
どちらも法律で記載事項が決まっていて、クーリングオフについての事項は赤枠の中に赤字で、8ポイント以上の大きさで書くこととされています。
この赤い枠が見当たらない書面を渡されたら、それは法定の書面としては不十分な可能性があります。
クーリングオフの期間が過ぎても使える例外がある
8日を過ぎたら終わり、とは限りません。
消費者庁の解説には、事業者がクーリングオフに関して事実と違うことを告げたり、威迫して困惑させたことによって消費者がクーリングオフをしなかった場合は、8日を過ぎていてもクーリングオフができるという趣旨の説明があります。
また、そもそも法定の書面が交付されていない場合は、起算日が来ていないという整理になります。
つまり「書面をもらっていない」状態では、8日のカウントが始まりません。
自分が受け取った書面に何が書いてあるかを、まず確認してください。
クーリングオフの通知は2022年6月から電磁的記録でもできる
通知の方法も変わっています。
国民生活センターのクーリング・オフの解説によると、2022年6月1日から、クーリング・オフの通知は書面だけでなく電磁的記録でも行えるようになりました。
メールやフォームでの通知が制度上は可能ということです。
とはいえ、送った証拠が残る形にしておくのが安全です。
書面なら特定記録郵便や簡易書留、電磁的記録なら送信控えを保存しておく。
発信した日付が起算日から8日以内であることが分かる形にしておいてください。
クーリングオフの期間が終わったあとは「中途解約」になる
8日を過ぎても、契約を終わらせる方法はあります。
特定継続的役務提供には中途解約権が定められていて、理由を問わず将来に向かって解約できます。
ただし無条件の全額返金ではなく、事業者が受け取れる上限額が法律で決まっている、という形です。
| 解約のタイミング | 事業者が請求できる上限(語学教室) |
|---|---|
| 役務の提供が始まる前 | 15,000円 |
| 役務の提供が始まったあと | 提供済みの役務の対価に相当する額+「50,000円」または「契約残額の20%」のいずれか低い額 |
この表がいちばん大事なところです。
受講開始前なら1万5000円が上限、開始後でも上乗せは5万円か残額の20%の低いほうが上限になります。
「解約したら全額返さない」という説明を受けたとしたら、それは法律の枠と食い違う可能性があります。
クーリングオフと中途解約は「関連商品」も対象になる
教材やCDなどを一緒に買っている場合の扱いです。
消費者庁の解説では、語学教室の関連商品として、書籍(教材を含む)、カセットテープ・CD・CD-ROM・DVDなど、ファクシミリ機器・テレビ電話装置が挙げられています。
これらは本体の契約と一緒にクーリングオフや中途解約の対象になります。
英語コーチングでは、専用の教材やアプリの利用料が別立てになっていることがあります。
契約時にもらう書面で、それが関連商品として扱われているかを確認してください。
扱いが分かれていると、返金の計算も変わります。
クーリングオフが使えないケース(適用除外)
特定商取引法には適用除外があります。
消費者庁の解説に挙げられているもののうち、英語コーチングで関係しそうなものを挙げます。
- 営業のため、または営業として締結する契約(法人契約や事業目的の契約)
- 海外にいる人に対する役務提供
- 期間が2ヶ月以下、または金額が5万円以下の契約
- 国や地方公共団体が行う役務提供
法人契約は個人の消費者を守る制度の外に出るので、社費で受ける研修は扱いが変わります。
自分で申し込んで自分で払うのか、会社が契約するのかで、そもそも適用される法律が違うということです。
ここは申し込む前に決めておいたほうがよい点です。
クーリングオフと「通信販売」の関係で混乱しやすい点
国民生活センターの解説には、通信販売にはクーリング・オフ制度がないと明記されています。
オンライン完結の英語コーチングを見て「じゃあ解約できないのか」と不安になる方がいます。
ここは整理が必要です。
通信販売にクーリング・オフ制度が無いのは事実です。
一方で、語学教室が特定継続的役務提供の要件を満たす場合には、その規定にもとづくクーリングオフと中途解約のルールが適用されます。
どちらの類型にあたるかは契約の実態で決まるので、自分の契約書面に何と書かれているかが手がかりになります。
判断に迷うときは、消費者ホットライン188や消費者庁の特定商取引法のページを確認してください。
クーリングオフとは別に、各社が独自の返金保証を用意している
法律の話とは別に、各社は自社の判断で返金保証を出しています。
2026年9月4日時点で公式ページに記載を確認できたものを並べます。
| サービス | 公式ページに書かれている返金・解約の扱い | 確認したページ |
|---|---|---|
| PROGRIT | 30日間全額返金保証(入会金を除く)。30日を超えても日割りで未受講分を返金し、残り日数により最大5万円の解約金と記載 | コース・料金 |
| STRAIL | 30日間返金保証。受講開始日から30日以内に申請すると初回納入受講料を返金と記載 | よくある質問 |
| ENGLISH COMPANY | 30日間返金保証。受講開始日から30日以内・初回納入金額・パーソナルトレーニングコースのみと記載 | よくある質問 |
| トライズ | 受講開始から1ヶ月以内の退会は無条件で全額返金。全額返金保証期間を過ぎた退会でも、法律で定められた解約手数料を除いた残りの期間の受講料を返金すると記載 | 料金 |
| Bizmates Coaching | 月額制で1ヶ月単位。数ヶ月の契約縛りや高額な解約金は一切ないと記載 | コーチング |
トライズの記載は、法律の中途解約のルールをそのまま説明している形になっています。
各社の「返金保証」は法律を上回る部分のサービスであって、法律の枠を下回ることはできません。
だから比較するときは、保証の日数だけでなく「対象になる金額はどこまでか」を見てください。
クーリングオフを使う前に確認しておきたい書面のチェック項目
契約したあとに手元にあるはずの書類です。
この5つがそろっているかを見てください。
- 契約前に受け取った概要書面
- 契約後に受け取った契約書面
- クーリングオフの記載が赤枠・赤字で入っているか
- 受講開始日がいつと書かれているか
- 中途解約したときの計算方法が書かれているか
受講開始日は、中途解約の計算に直結します。
「開始前」か「開始後」かで、事業者が請求できる上限が1万5000円と5万円で変わるからです。
初回のカウンセリングが受講開始にあたるのか、初回のセッションからなのか。
そこを書面で確かめてください。
クーリングオフについてよくある質問
クーリングオフの8日はいつから数えますか
法定の契約書面を受け取った日を1日目として数えます。
申し込んだ日からではありません。
クーリングオフはメールでもできますか
2022年6月1日から電磁的記録による通知が可能になりました。
送信の記録が残る形で行ってください。
クーリングオフをすると違約金を取られますか
クーリングオフは無条件で契約を解除する制度です。
期間内に正しく行使した場合、損害賠償や違約金を請求されることはありません。
8日を過ぎてしまいました。もう解約はできませんか
特定継続的役務提供にあたる契約なら、中途解約の規定があります。
事業者が請求できる額には法律上の上限があります。
会社が契約した場合もクーリングオフできますか
営業のためまたは営業として締結する契約は適用除外とされています。
個人契約と法人契約では扱いが変わります。
返金保証とクーリングオフは同じものですか
違います。
クーリングオフは法律の制度、返金保証は各社が独自に用意しているサービスです。
クーリングオフについて自分で確かめられる一次情報
この記事の根拠にした公式ページを置いておきます。
金額や条件は改正されるので、判断する前に必ず原文を見てください。
- 制度の解説:消費者庁 特定継続的役務提供
- 特定商取引法全体:消費者庁 特定商取引法
- クーリング・オフの日数一覧:国民生活センター
- 条文そのもの:e-Gov 特定商取引に関する法律
困ったときの相談先は消費者ホットライン188です。
全国どこからでも、最寄りの消費生活センターにつながります。
クーリングオフの通知文には何を書けばよいか
様式が決まっているわけではありませんが、あとで争いにならないように残しておきたい項目があります。
- 契約年月日
- 契約したサービス名とコース名
- 契約金額
- 事業者名
- 「この契約を解除します」という意思表示
- 通知した日付
- 自分の氏名と住所
書面で送る場合は、コピーを手元に残してください。
電磁的記録で送る場合は、送信控えを保存しておいてください。
2022年6月1日から電磁的記録による通知が可能になっていますが、証拠が残る形にしておくという原則は変わりません。
なお、クレジットカードや信販会社の分割払いで契約している場合は、事業者だけでなく信販会社にも同時に通知しておくのが安全です。
支払いの引き落としが続いてしまうことがあるためです。
クーリングオフの前に手元の書類を全部そろえておく
話が早く進むように、先に集めておく書類です。
| 書類 | 何のために要るか |
|---|---|
| 概要書面 | 契約前に交付されるべき書面。受け取っていないこと自体が論点になる |
| 契約書面 | 起算日を決める。クーリングオフの記載が赤枠・赤字であるかを見る |
| 領収書・振込明細 | 支払った金額と日付を示す |
| 申込時のメール | 申し込みの日付と、やり取りの内容が残っている |
| 教材や関連商品の明細 | 関連商品として扱われているかを確認する |
このうち、いちばん見落とされるのが5つ目です。
語学教室の関連商品としては、書籍(教材を含む)、カセットテープ・CD・CD-ROM・DVDなど、ファクシミリ機器・テレビ電話装置が挙げられています。
教材が関連商品として契約に含まれていれば、その分もあわせて扱われます。
クーリングオフや中途解約で困ったときの相談先
事業者との話し合いで折り合いがつかないときは、公的な相談窓口があります。
- 消費者ホットライン 188(いやや):全国どこからでも最寄りの消費生活センターにつながる
- 国民生活センター:クーリング・オフの日数や制度の解説
- 消費者庁 特定商取引法:法律の解説と関連資料
- 消費者庁 特定継続的役務提供:語学教室の扱いと中途解約の上限額
相談するときは、上で挙げた書類を手元に置いてから電話してください。
契約日・受講開始日・契約金総額の3つが分かれば、話が早く進みます。
クーリングオフを使わずに済ませるための予防策
いちばん良いのは、解除の制度を使わずに済むことです。
そのために契約前にできることを並べます。
- 無料カウンセリングを2〜3社受けて、比較の材料を作る
- その日に決めず、契約書面を持ち帰って読む
- 受講開始日がいつになるかを書面で確認する
- 中途解約したときの計算方法を、契約前に説明してもらう
- 教材費や関連商品が契約に含まれているかを確認する
- 分割払いにする場合、手数料が誰の負担かを確認する
3つ目の受講開始日は、この記事で何度も出てきた論点です。
中途解約したときの上限額が、開始前は15,000円、開始後は提供済み分+(50,000円または残額の20%の低いほう)と変わるからです。
契約日と受講開始日が同じ日なのかどうかを、必ず書面で確かめてください。
なお、教育訓練給付金を使う予定がある方は、返金保証や中途解約を使うと修了要件を満たさなくなる点にも注意してください。
一般教育訓練は受講費用の20%・上限10万円が訓練修了後に支給される仕組みです(厚生労働省)。
まとめ|クーリングオフは8日、その後は中途解約という2段構え
要点を並べます。
- 語学教室は特定継続的役務提供の指定役務で、期間2ヶ月超・金額5万円超なら対象になる
- クーリングオフは法定書面を受け取った日から数えて8日以内
- 通知は書面のほか電磁的記録でもできる(2022年6月1日から)
- 8日を過ぎても中途解約でき、事業者が請求できる額には上限がある
- 開始前は15,000円、開始後は提供済み分+(50,000円または残額の20%の低いほう)が上限
- 法人契約や海外での役務提供は適用除外
- 各社の返金保証は法律とは別枠のサービス
英語コーチングを申し込むときは、料金表と同じくらい契約書面を読んでください。
受講開始日と解約時の計算方法。
この2つが書かれていれば、あとで揉める余地はかなり減ります。
※法令の内容および各社の保証内容は変更される場合があります。
最新の情報は消費者庁の公式ページおよび各社の公式サイトでご確認ください(本記事の情報は2026年9月4日時点のものです)。
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